秋の七草

秋の七草は、皆さん御存知の通り、(奈良時代の)山上憶良万葉集の二首から広まった七種の草ですね。
のちのちの、いまの世まで、秋の七草として、数えられているとは、山上憶良は、思いもしなかったことでしょう。
 
山上憶良は、大宝2年(702年)遣唐使のひとりとして、唐に渡り、儒教や仏教などを研鑽。716年に伯耆守に任ぜられ、721年、のちの聖武天皇の侍講。726年、九州・筑前守に任ぜられて、太宰府の大宰帥だった大伴旅人と筑紫歌壇を形成したとのこと。これらの歌は、そのころ詠んだのかもしれません。
 
秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 (巻8-1537)
この歌は、ふつうの和歌の五七五七七のリズムです。
 
萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝顔(貌)の花 (巻8-1538)
こちらは、旋頭歌という奈良時代の和歌の一形式の五七七五七七です。
なお、”また”の二文字以外は、上手く花の名前を連ねていますが、”およびをり”は、子どもらに、指を折って数えさせたようで、5つ数えたところで、”また”で、小指、薬指を広げて、6つ、7つと続けたようですね。👍
前置きはこれくらいにして・・・
 
from my photo library
萩の花(当時はヤマハギだったかも) 埼玉・そうか公園
蝶:キタキチョウ

萩の花 墨田区・向島百花園の萩のトンネル

尾花(おばな、ススキ) 山梨・山中湖村

葛花(クズ) 墨田区・向島百花園

なでしこの花(カワラナデシコでしょう)
東京・調布市・神代植物公園

女郎花(おみなえし) 山形・山形市(山寺芭蕉記念館)

藤袴(ふじばかま) 墨田区・向島百花園

朝顔の花(現在の桔梗(キキョウ)というのが定説)
墨田区・向島百花園

 
俳句:
 
秋七草 嫌ひな花は 一つもなし 鈴木真砂女
子の摘める 秋七草の 茎短か 星野立子