椿「玉之浦」

愛培の椿「玉之浦」が今春も開花しました。
幻の椿「玉之浦」は、紅い花弁に白い縁取りで包まれた清楚な一重の花です。
花の径は5cmほどです。
これから、徐々に開花します。このような蕾がいっぱいついています。
この椿は、昭和21年に長崎県五島列島玉之浦町の山中で、炭焼きを生業としている人が、発見されました。ヤブツバキの突然変異種です。
 
昭和48年、長崎市で開催された全国ツバキ展で発表されたのを機に全国的に有名になり、その後、国際ツバキ協会に登録され、日本を代表する椿といわれるようになっています。
 
原木は傾斜地に自生し、樹高6m、根回り1mだったそうですが、枝や根を次々に切り取られ枯死してしまっています。
 
求めたのが昭和60年ごろ、発表されてから干支で一回りしたころになります。30cmの苗木が1万円と、高価でしたが、気に入って、注文したことでした。いまから、30数年前なので、ネットショップもまだ存在しなかった時代です。
 

「玉之浦」の欠点のひとつが、挿し木などで、代を経ると、白い縁取りの幅が安定していないそうですが、求めたのは初期でしたので、毎年、きれいな花が咲く一木です。

種を蒔いて育てたことがありますが、5、6本とも、白い縁取りのない、ふつうのヤブツバキの花が咲きました。

 

2階の窓まで伸びたので、3年前に上部を3分の1ほど切断したおりに、挿し木をしました。
大きめのプランタに100本ほど挿し木して、いま、6、70本、根付いています。どこかにこっそり植樹して回るつもりです。(苦笑)
 
この「玉之浦」を品種改良したものには、必ず「玉またはタマ」をつけることになっていて、現在7品種以上が紹介されています。
 
今日の名言:
 
「風も吹くなり 雲も光るなり」

生きてゐる幸福は波間の鴎のごとく漂渺(ひょうびょう)とただよい
生きてゐる幸福はあなたも知ってゐる 私もよく知ってゐる
花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり 雲も光るなり
 林芙美子(小説家、代表作のひとつは、「放浪記」)
 
これは、未発表の詩で、知人、村岡花子(翻訳家、児童文学者)に贈られた詩で、”花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき”の原詩ということです。