春愁

老いると、春愁とは半ば無縁で、日々、淡々と生活しているだけですが、五月ともなれば、五月病の言葉もあるように、新入生、新社会人、この春に生活や職場の環境が変わった方々も、緊張が解けたところで、なんとなく気分が沈んで、鬱になる季節ではありますね。
 
春愁は、俳句の季語。春愁(はるうれひ)とも詠み、春かなし、春思も同意の季語です。
 
拙句: 世の病 マリアの姿 春愁ひ 功雪(しらこばと)
新型コロナウイルスに戦々恐々としていた頃の春に詠む
 
名句: ありありと 春愁の眉 阿修羅像 倉橋羊村
阿修羅像の眉に、春愁を見つけた作者の観点に打たれます。
 
この絵は、もういつしか15年にもなりますが、東京国立博物館で開催された「興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」」を拝観した折に求めた絵葉書からの転写です。
奈良・興福寺の阿修羅像

阿修羅は、古代インドの神の一族。後には、帝釈天などの神々に戦いを挑んだ悪神とされました。帝釈天との闘いの場が修羅場です。
 
4年前に、やはり同じ東京国立博物館の特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」で拝観した帝釈天です。
京都・東寺を訪ねた折にも観ていました。
 
象の上の坐像です。特別展では、一部、撮影が許可されていました。
仏教の二大護法善神ですが、阿修羅の娘(インド神話の女神)を力尽くで奪って妻にしたことに阿修羅が怒って、ふたりは戦ったということです。
寅さんでしばしば登場する笠智衆演じる”御前さま”の柴又帝釈天(日蓮宗・題経寺)のご本尊でもあります。
ハンサムな東寺の帝釈天

 
今日の名言:
 
人材の育成には3つの場が大事だ。「修羅場」、「土壇場」、「正念場」。 杉本雅史(ロート製薬社長)
 
若い社会人にも、春愁している場合ではないよと、伝えたい名言です。