H3ロケット初(1)号機の失敗

2月17日の最初の発射では、発射直前に突然打ち上げ中止となり、「失敗ではなく中止」なんて、JAXAはのたまっていて、共同通信社の記者が、食い下がって、「それは一般に失敗といいます」と言っていましたが、それはともかく、拙速に事を運んだようで、今度は本当に残念な結果に終わりましたね。
 
ロケット第一段固体ロケットブースター、そして先端の人工衛星などを覆っているフェアリングは、うまく行ったときは、用済みごとに、海上に落下します。第二段は、人工衛星を正確な軌道に乗せたあと、大気圏の外から落下して、大気圏で、ほとんどは(摩擦熱で)燃え尽きるのだそうです。
 
今回は、途中で、爆破指令を送って、爆破させたそうです。50億円が、まさに、海の水の泡と消えたようで・・・153.png
 
私事ながら、50歳代の半ばに差し掛かった4半世紀前、1997年頃に、これまで活躍してきたロケット「H-IIA」の第1号機の、ほんの一部の機能を三菱重工業の孫請けか、曾孫請けで105.png、請け負ったことがあります。
 
機体内部の温度・圧力・流量などの制御・監視をするために機体と管制室の間の送受信システムでした。
 
ロケット「H-IIA」
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いまは、本体との間で無線で通信されるようになっているかも知れませんが、当時は、イーサネット(Ethernet)のケーブル、つまり、パソコンを有線で接続されるときには、おなじみのLANケーブルでした。
母なる地球から飛び立つロケットを新生児(母体から切り離される赤ちゃん)に見立てて、ケーブルをたしか、へその緒(=umbilical(アンビリカル) cord)と呼んでいました。もちろん、コネクターが外れて、ロケットは打ち上がります。
 
完成した「H-IIA」(1機100億円)の第1号機が無事に飛び立つかをはらはらして、テレビで観ていたのを思い出します。
 
6号機が、軌道に投入不可能となり、指令して爆破されたことがありました。事故は、それ1回で、46回の打ち上げで、成功率98%は、世界最高水準です。このほか、途中、10年間ほどで9機打ち上げられたH-IIBは、
100%でした。
 
ところで、地球の上で、撃ち合いなどしていないで、宇宙に向けた開発競争をしてほしいものですが、中には、このようなロケットで打ち上げられた衛星までも撃ち落としたり、電波で攻撃するというような愚かなことを考えている輩の国家指導者もいて、「馬鹿につける薬はない」143.png
 
今日の名言:
 
成功があがりでもなければ、失敗が終わりでもない。肝心なのは、続ける勇気である。 ウィンストン・チャーチル
 
世の中に失敗というものは無い。チャレンジを止めた時、それを失敗という。 稲盛和夫(京セラ・KDDI創業者)